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地域包括ケア病棟
看護主任 黒羽 啓資
私たちは毎日、スマホや現場、人間関係などから、情報という名の“弾丸”を浴びながら生きています。
ただここで問題なのは、その弾丸を「見た瞬間に全部正解!」と受け取ってしまうと、わりと簡単に思い込みの沼に落ちることがあるという点です。
申し送りでの「昨日落ち着いてました」の一言だけ信じて病室に入ったら、イベントが起きそうな状況です。
そこで登場するのが、多角的なものの見方という“ちょっと冷静になろうぜスキル”です。
いろんな角度から物事を眺めることで、「あれ、これ思ってたのと違うぞ?」に気づけるようになります。
多角的に見ることのいいところは、まず「人間ってけっこう自分勝手に物事見てるよね」という事実に気づけることです。
例えば、自分では正しいと思っていた判断も、別の立場から見ると「いやそれ結構しんどいぞ?」となることがあります。
逆に、ダメだと思っていたケアが「いやそれ今いちばん必要なやつでは?」と評価がひっくり返ることもあります。
さらに患者さんの気持ちを想像すると、「この人なぜこんなこと言ってるんだ…」が「なるほど、そりゃそうなるわ」に変わる瞬間があり、人間関係のバグが少し修正されます。
“ナースコール連打”にも、ちゃんと理由があったりします。
ではどうやって多角的になれるのかというと、まずは自分と違う意見を“あえて見に行く”ことです。
普段の自分の世界だけにいると、思考がぬるま湯どころか「ずっと同じ体位で固定」みたいな状態になります。
たまには医療者じゃない人と話してみると、「え、そこ気にするんだ?」という発見があって面白いです。
次におすすめなのは「逆の立場ごっこ」です。
自分の意見に対してあえて全力でツッコミを入れると、論文でいうクリティーク状態になり、「自分の考え、病棟会で通らなくない?」と気づけます。
そして極めつけは、「なぜ?」「他にある?」「誰が得してる?」という三種の問いです。
これを繰り返すと、頭の中で一人カンファレンスが始まって、議題が終わらなくなります。
現代は情報が多すぎて、もはや“正解っぽい顔した不正解”が普通に紛れています。
その中で大事なのは、即決スキルよりも「いや一回カルテ見直そう」と立ち止まる癖かもしれません。
多角的なものの見方は、正解を当てるゲームというより、「人間の思い込みに静かにツッコミを入れる遊び」に近いものです。
ひとつの答えに飛びつく前に「これ、別の病棟視点で見たらどうなる?」と考えるだけで、世界はちょっとカオスになります。
でもそのカオス、病棟ではだいたい日常です。

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