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私は外来に所属している。
ここ数年は救急車の受け入れを積極的に行っており、可能な限り地域医療にも貢献してきた。
昨年末から発熱の患者様の救急要請が多く、どこの病院も満床で受け入れ困難・・・。医療はひっ迫していると感じることも多い。
そんなある日、外来が昼休みの時間に、ひとりの男性が同僚の男性を車に乗せてやってきた。胸が苦しくて冷や汗が出るとのこと・・・。状況を聞いた私は、急いで車に向かったが、車の中の男性は声かけに反応できないほど緊急を要する状態であった。
付き添ってきた男性に詳しく状況を聞くと、救急車を呼んだが電話がなかなか繋がらなかったとのこと・・・。本人から、かかりつけである当院に運んでほしいと言われ、連れてきたと話してくれた。
急ぎ処置室へ運び、できる限りの処置を行ったが、その方は息を吹き返すことはなかった・・・。
今、テレビで「119エマージェンシコール」というドラマが始まっている。ドラマではあるが、実際に基づいていることもあるように思う。
当院でも時々あることだが、残念ながら「救急車をタクシー代わりにしてるのでは?」と思ってしまう軽症の搬送だ。救急車の出動件数は年々増加傾向にあり、搬送人員のうち45%は軽症・・・。重傷者への対応の遅れにつながるといった課題も浮き彫りになっている。
救急車が現場に到着するまでの時間は、2002年では6.3分だったが、2022年では10.3分へと延長している。そのような背景を憂慮したのだろう。救急車の有料化の取り組みが検討されている。三重県松阪市では、2024年6月より救急搬送後、入院に至らなかった軽症の場合は、選定療養費として7.700円が徴収されることになった。茨城県でも2024年12月から、救急車での搬送で緊急性が見られなかった場合は、一部の医療機関で選定療養費が徴収されることになっている。
救急車の有料化は、軽症者の搬送を減らすことで、緊急性の高い方に迅速に対応できるようにする狙いだが、有料化にすることで、本当に救急搬送が必要な患者様が利用を躊躇してしまうのではないか・・・と考えたりもする。しかし、今のままでは、助けられる命が助けられなくなることもあるだろう。難しい・・・。
日本人ひとりひとりが、救急車の適正な利用を心掛け、想像力を発揮してくれるとよいと思う。ひとりの外来担当看護師として、本当に必要な人に、救急車が迅速に向えるような世の中になってほしいと心から願っている。
そのためには、救急車の適正な利用方法や、一般の方向けに救急搬送を迷った場合の相談窓口などの情報を、今以上に広く社会に発信するしくみが必要ではないかと感じている。
外来
主任看護師 鈴木亜美
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