東京天使病院看護部 天使のつぶやき
2024.10.23
第39回 どこにでも学びはある

今月から認定看護管理者研修課程ファーストレベルを受けている。自宅から東京都ナースプラザまで、電車で約1時間半の道のりだ。

人間ウォッチングをしながら、快速電車に揺られる。ふと大学時代の社会学での教授の話を思い出した。

「日本人は部落系民族だから、自分の部落の人間には愛想がいいけど、他の部落の人間には無関心、無表情の傾向がある。いい例が電車の中だ。お互い無関心・・・。満員電車に無言で押し入る人もいる。その相手が顔見知りなら『ごめん、乗りたいからもう少し詰められる?』と申し訳なさそうに言うだろうし、先に乗っている側も乗せてあげられるように工夫するだろう」とのことだった。

 

八王子の田舎から都会に入ると、車内も徐々に満員になってくる。電車が遅延していたこの日は、すぐに後続の電車が来るのに、駅に着くと無理やり乗り込んで来る人たちで、何度も扉が開閉。「ご協力お願します!」と駅員の叫ぶようなアナウンスが流れている。

何駅目かで無理やり乗り込んだ人に押され、奥で立っていた人たちが雪崩のようによろけている。しかし押し乗った人は、他者に迷惑をかけていることなど想像もしていない。怪我人がでなかったのが、不幸中の幸いだった。

ふと感じたことは、ここにもリスクマネージメントに繋がる「思考教育の重要性」があるということ。どこに乗るかを認知して、想像して、判断して、行動することが重要なのだと感じさせられる場面だった。

看護の場面でも同じことがある。

私の看護師人生の中で「あの看護師にケアしてもらいたい」「あの看護師はいやだ」という話を何度も耳にしてきた。どんな接遇やケアも、「自分優位」な思考の下においては、患者さんを悲しませたり、苦しませたりすることがある。私にとってそのような看護は「作業」にしか見えない。

 

私たち看護師が提供するものは、家庭で家族のお世話をする看護とは異なる「プロの看護」だ。

私は常にプロとして学術性をもって看護ケアを展開し、傷病により弱くなられた方たちの心の支えとなりたいと思ってプレイヤーをしてきたつもりだ。でも看護師が皆そうではないのかもしれない。

今私たちの病棟は「今日はどの看護師が担当なのか・・・?あの看護師や看護補助者でないといいな・・・。」と患者さんに感じさせない療養の場であるだろうか・・・?

病棟スタッフは、患者さんの表情や言葉・受傷の経緯などを認知して、想像して、判断して、援助しているだろうか・・・?この病棟で、患者さんは安心して療養して頂けているのか・・・?つい考えてしまった。

 

そんな中、最近感じるのは「教育が宝だ」ということ・・・。本人の資質もあると思うが、教育で個人の「当たり前となる物差し」が変わるのではないかと感じる。

自分で学習して培ったこと、様々な方たちから講義で学んだこと、現場で先輩や上司から根拠づけて学んだこと、それが私の物差しになってきた。誰にも盗まれない私の中の財産だ。

12月までまだまだ研修の往復路の人間ウォッチングは続く。きっといろいろな人間行動学的な視点から、アセスメントが頭の中を巡るだろう。

ファーストレベルの研修も、電車内のアセスメントも「誰のため?」そんなことは決まっている。

全てご縁ある患者さんと、スタッフや自施設に貢献するためだ。歳を重ねてきて記憶に自信が持てない中だが、工夫しながらしっかり楽しく学ぼうと思う。そして皆さんにフィードバック出来たら・・・と思う。

 

 

 

回復期リハビリ病棟

師長 梅村 亜記代

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