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私には、高1の末娘がいる。また今年も長い夏休みがやってきていた。
私が子供の頃は、夏休みに親戚の家に泊まりに行く事が楽しみのひとつだった。特別な所に連れて行ってもらう訳ではなかったが、親から離れた解放感で伯母の後をついてまわった。生活習慣の違いや考え方など、子供心にも新しい発見があり楽しかったことを覚えている。家とは違う緊張感があり、色々な経験をした事を懐かしく思い出した。
今は核家族となり、子供達は親戚の家に泊まりに行くこともなく育った。
今年の夏休み、嫁いだ長女の家に末娘が、約1か月ホームステイをすることとなった。末娘は以前「高校生になったらベビーシッターをやりたい」と言っていたが、夏休み中、3歳になる姪の世話焼きをすることになったのだ。
末娘は、家では全ての時間を自分のために使っていた。しかしベビーシッターとなると、姪の時間に合わせて動かなければならない。朝の起床から始まり、食事にトイレ、保育園の送迎、遊び相手にお風呂、寝かしつける迄やる事が満載。機嫌の良い時ばかりでは無く、愚図る事もしばしば。自分の思い通りに動いてくれない時には、イライラしたことだろう・・・。
姉達に可愛いがられて育った末娘は、姉妹喧嘩の経験も無い。ホームステイをするからには、長女である姉の手伝いもしないといけない。末娘は、最初自分の気持ちをはっきり伝えられなかったようだ。そうなると相手の気持ちに寄り添うなどほど遠い・・・。時には長女と喧嘩になった。そばに親が居れば甘えてしまうだろうが、頼れるのは「今は姉しかいない」という中で、末娘は成長した。
「〇〇ちゃん」と呼ばれていた末娘が、姪から「お姉ちゃん」にと呼ばれるようになった。末娘にとっては、この夏の最高のプレゼントを胸に帰宅してきた。
「楽しかった、また来年も行きたい。」と言う末娘の一声。自主的では無いものの、家事の手伝いをしてくれるようにもなった。 ホームステイ中の人との出会いや姪との関わりは、末娘を成長させる貴重な経験となったようだ。これからも色々な経験を通し、相手の気持ちに寄り添える娘に成長していってくれる事を願っている。
現在私は、回復リハビリ病棟の主任をしている。入院患者様のほとんどが高齢者だ。日々患者様と接する中、接遇の大切さや感性と想像力の大切さを感じる事が多い。
病棟スタッフの多くは娘と同世代。職歴や経験はそれぞれ違う。その中で私の役目は、プレイングマネージャーとして看護を提供するのは勿論、自分の経験を活かし、若いスタッフのロールモデルになること・・・。
そのためには、更に感性と想像力を磨いて、末娘に負けないように自分自身が成長することが大事。
末娘の成長に刺激を受け、今まで以上に、患者様に寄り添う看護を提供していきたいと思う私である。
回復期・リハビリテーション病棟
主任 中野尚美
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