東京天使病院看護部 天使のつぶやき
2024.08.09
第29回 地震大国

九州宮崎を中心に大きな地震があった。被害に合われたた方たちを思う・・・。

今年元旦夕方に発生した能登地震を思い出す。

日々ニュースを見ているが、能登の復興は決して順調に進んでいるとは言えないようだ。未だに水道や電気の復旧ができず、住み慣れた自宅を離れ仮設住宅に住んでいる人も少なくないと聞く。有名な輪島朝市も閑散としているとの報道。元に戻るにはどのくらいかかるのだろうか・・・。

今年は私も8年ぶりに83歳になる母と佐渡島の実家でお正月を過ごそうと帰省していた。16時過ぎ、そろそろ夕飯の支度を・・・と思っていた矢先に強い横揺れが襲った。思わず隣に座っていた母の手を握った。しかし揺れている間は何もできない。揺れがおさまり我に返るとニュースで津波警報。近所の声があわただしい。足腰の悪い母に防寒着を着せ、貴重品のみを持って車に乗り高台へ避難した。高台にはすでに数人の家族と思われる人たちが集まり、暗くて何も見えない海を見つめていた。

車の中でラジオを聴きながら4時間余りを過ごす。どうやら我が家の近所に津波は到達せず、家屋の被害もほとんどなかったことがわかり帰宅した。その晩は母とカップラーメンを食べ、洋服を着たまま眠った。

翌朝早くに目が覚めて外に出ると波は穏やかで、怖いほど美しい朝日が昇っていた。ニュースは能登の被災状況を伝えている。お正月というのに母と二人何も手につかなかった。

母のことは心配ではあったが、その母の勧めもあり何とか船と新幹線を乗り継いで3日に東京に戻った。

 

日本は地震大国・・・。ここ数年あちこちで大きな地震が起きている。南海トラフも心配だ。近々もっと大きな地震に見舞われることもあるかもしれない。しかし人間は都合よくできていて、大抵の人は、自分にはそんなことは起こらないとどこかで信じ込んでいる。私自身も自分の人生において、災害で避難することがあるなんてこれまで想像もしていなかった。

 

能登ではたくさんの方が家屋の下敷きになって亡くなったと聞く。一瞬の出来事で家族や大切な人を失ってしまった方たちの胸の内は想像を絶する。悲しみは簡単に癒えるものではない。

 

命は尊いのに儚い・・・。命の重さは平等だ。だが残念なことに命の長さは平等ではない・・・。

 

この度の宮崎の地震の報道を見ながら、いったい自分には何ができるだろうかと考える。

募金・・・ボランテイア・・・SNS・・・。それ以上に思うことは「忘れないこと」・・・。

 

そしてまずは今自分がしっかりと生きること・・・。いつ何があるかわからない。そのことを忘れずに毎日毎日を懸命に生きること。そして自分の命と同じように、目の前にいる人たちの命を大切に思うこと。身近にいる人を思いやること。家族・友達・同僚・患者さま・ご家族。

今自分にできることをする・・・どんな小さなことでもいいから・・・。

そんなことを考えている。

看護部長 本間久美子

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